バルカンを訪れるのは、今回で4回目になります。
なぜおれがバルカンに惹かれ続け、居心地の良さを感じるのか、理由はたくさんあるけど、ひとつはバルカンの人々が「ふりをしない」という事。誰も「愛想笑い」とか「いい顔」をしない。ブッキラボーな印象を持つ人もいるかも知れないけど、言い方を変えればみんな正直だという事。
その最たる人物がベキム。彼はどこまでも正直に自分をさらけだす。
今思えば、初めて見知らぬ彼からメールを受け取ったときも、その『正直さ』に心を打たれたんだと思う。
ベキムの周りの友人たちはみんな彼の本のファンだけど、みんな本以上にベキム本人の事を愛している。
「彼は本当のボスニアの魂を持ち続けている」
何人もの人たちが、ベキムの事をそう表現した。
本は読んでいないけど、おれも「ベキムそのものがバルカンを体現している」と思う事がある。
狂おしいほどの情動を内に秘め、形に収まりきれない。"ヨーロッパの火薬庫"とも呼ばれるけど、それがバルカン。
そのベキムがノルウェーから戻ってきました。
先月の東北での上映会で、ある人が「おれはこんな自由奔放な奴と三日と一緒に一緒にいれない」と言ってた事を伝えると、
「おれもおれと三日も一緒にいたくないよ。だけど一生付き合っていかなきゃならない」
と笑いながら言った。
ベキムはその卓越した野生の知性でいつも物事の本質を鋭く見抜くけど、その目を自分に対しても向けているところが凄い。決して自分を“棚上げ”にしない。
友人の話しでは、ベキムは作品(小説)の中で自分自身の醜いところも容赦なくさらけ出し、しかもそれがとても美しいという。
醜から美を紡ぎ出すー
美から美を再生する人はたくさん出会ってきたけど、「醜を美へ昇華」できる人は、片手で数える程しか出会っていない。
ベキムの”天才”は”天災”と紙一重だけど... いつか読んでみたい、ベキムの本。
This is the fourth time for me to visit the Balkan.
Why I've been attracted so much to the Balkan. One of the reason is because of the people. People here, they don't "pretend". They are as they are. honest, and of course crazy too. I feel comfortable with it.
And Bekim is symbol of that. He is so honest and crazy and has intelligence.
When I got email from him at the firest time, I guess I was already felt it and attracted by his "naked spirit".
Bekim came back to Ljubljana after the screening of our film.
I told to Bekim that when I had screening in Japan, one guy said " I can't stay with Bekim more than 3 days. He is too much free minded".
Bekim said " I don't want to stay with me, either. But I have to stay with me. That's my life". He is critical about himself as well. It's very important attitude to be an artist.
I've met many "artist " who snatch beautiful things. But I've met only few people who can create beautiful things from ugliness.