12月、親友になったケダルギリ・ババ(写真右)と、ヒマラヤへおよそ10日間の旅に出た。
インドに来たときには「南のビーチへ行こう!」と思っていたのに、気づけば冬、ヒマラヤのふもとまで来てしまった。。。
まるでシバ神に「お前はまだ南へ行く準備ができていない。ここへ来なさい!」と呼ばれたような気がした。
ヒマラヤのふもとには、外界から閉ざされた、まるで中世にタイムスリップしたような小さな村々が静かに広がっていた。
インターネットもスマホもない静寂の中で暮らす村人たち。子供たちの笑い声。
今やこういう人たちに、マインドが常にここにある人たちに出会えることが貴重なことだと思い、この後の旅はこうした小さな村々を訪ねる旅になっていった。
村の子供達は天使のよう。
お寺の境内で小石で遊ぶ少女たち。
糸を紡ぐおじさん。
食堂もない村では、ババや村人に夕食を招待してもらいました。
このヒマラヤの旅の最中も沈黙の修行の時のように、頭を空っぽにして「今ここにいる」ことを意識して過ごすようにしていたけど、時折意識が乱れることがあった。
それは特に時間のことを考え始めた時。
「ババ!9時にリシケシ行きの直行バスが出るよ!」
リシケシに戻る日の早朝、おれたちは買い物のため、近くの集落に寄り道をしていた。
「もく、お前はお寺に行ってプージャ(お祈り)でもしていなさい」
「…」
バスの時間が迫っていてイライラしてたけど、仕方がないので集落にある古いお寺に行った。
和尚さんの後ろについて境内を歩いていたら、ちょうど朝日が射してきた。
和尚さんは足を止め、ゆっくり太陽の方をふり向くと、手を合わせ、太陽に向かって静かにお辞儀した。
おれも和尚さんに習って、太陽に向かってお辞儀をしてみた。
「なんてこった。おれはバスの時間ごときに心を乱されて、毎日登ってくれる太陽への感謝の気持ちさえ忘れていた!」
この旅は、心を空にして今ここにいれるか、シバに試されているような気がした。
旅の道中ではトラックをヒッチハイクしたりハチャメチャだったけど、得たものは計り知れなかった…
乗り合いタクシーを乗り継いで、結局おれたちは無事にリシケシに戻ることができた。