9月、ボスニア・ヘルツェゴビナの古都、モスタルを訪れました。
何もかも懐かしい。映画『バルカンヘ』の中でも、モスタルでの出会いと出来事は重要な要素が詰まっているので特に思い入れが強い町。
それまで滞在していたアドリア海沿岸、ダルマチア地方から少し内陸に入っただけなのに、ボスニアに入ると一気にオリエンタルな空気を感じます。オスマン・トルコ帝国の支配下に置かれていたためです。
その後、この地域はオーストリア帝国の支配下に置かれ、バルカン半島が巨大な勢力の通り道であった事を改めて感じます。この半島の中に様々な民族と文化がひしめき合っているのがバルカンの魅力、と同時に50年に一度戦争を繰り返しているホットな地域である理由でもあります。
モスタルでは、この小さな橋をはさんでカトリック(クロアチア人)とイスラム(ボスニア人)に分かれて、三年間も撃ち合いが続きました。
今回も訪れた途端に、ヒリヒリするような分断された空気を肌で感じた。
町は少しきれいになって、戦争で破壊された建物も随分減っていました。
7年前に滞在したビル。現在ではすっかりお洒落なカフェになっていました。(初夏、おれ不在でここで『バルカンヘ』の上映会が行われ、好評を頂いたそうです)
あわれなナディム
今回モスタルを訪れたのは、この町出身のミュージシャン、ナディムと共に現在製作中の映像作品のサウンドトラックを制作する事だった。
クロアチアHVAR島で荒編集が終わったので、それを携えてナディムの待つBARへ向かった。
ナディムは過去10年間、Bunennyというバンドのギタリストとして活動してきた。7年前に出会った時はイケイケのバンドマンとしてヨーロッパ中を駆け巡っていたけど、一年前、バンドは解散した。それでも去年の冬クロアチアで再会した時、ナディムはセルビアの有名なシンガーと共作でレコーディングしていて、調子も良さそうだった。
ところが‥
ナディム行きつけのバー:タディア
「よう、モク‥」
9ヶ月ぶりに再会したナディムは、すっかり落ち込んでいた。
なんと、去年から制作していた楽曲をパートナーのセルビア人のシンガーに勝手に発売され(しかも売れてる!)、さらに数日前には恋人にフラれたばかりだった。。。
とてもじゃないけど、 ナディムは音楽を制作できる精神状態ではなかった。バルカンでは物事は思うようには進まないのは当たり前。昔のおれならイライラしてただろうけど、今は流れに身を任せる事を覚えたので(そういう不測の事態も予測してスケジュールも切っていたし^^)、ゆっくりナディムの回復を待って制作に入りました。
金正日の息子‥かも?
ある日、モスタルのアートカフェでお茶してたら隣りにアジア人の若者がいました。
まず観光客は来ない場所なので、モスタルに住んでいる若者に違いない。数年前に「北朝鮮の金正日(キム・ジョンイル)の息子がモスタルの学校に入学した」というニュースを見ていたので、地元の友人に聞くと「彼ならよくあのカフェに来るよ」との事だった。
もしあの若者が金正日の息子だったら、次回会った時には「拉致された日本人たちを解放するように兄さん(キムジョンウン)に伝えてくれ!」と訴えよう!
モスタルのパノラマ風景。
Lost theoryで出会った日本の旅人たちもモスタルに集結していたので、ある日町外れにある丘の上にハイキングへ。途中で道を失ったので適当に岩場を登っていた時、「この辺りにはまだ地雷が埋まってるかもよ」と忠告したら急にみんなの足が止まり始め、引き返す事にしました。後で地元の友達に聞いても「あの辺りはまだ本当に埋まっているかもよ」と言っていたので、賢明な判断でした。(通常は地雷が埋まっている可能性がある場所には地雷注意の看板が立っています)
Mostar
In September, I had visited in Mostar, an old town of Bosnia and Herzegovina. It had been seven years past since I arrived this town last time.
When I arrived there, immediately I felt special feeling from this town. Just few hours from the coast, Dalmatia. But this area had been occupied under the Othman empire. So three are lot of oriental atmosphere.
I came there for making soundtracks with Nedim, a musician from Mostar for the new filming project. But when I met him, he was really in bad shape. His music has been stolen by the Serbian singer who had made musics with Nedim in last winter. And his girl friend had left him just few days before I arrived… Oh poor Nedim…..
Anyway I knew thing never goes on time in the Balkan. So I just tried to help and wait him to be better…