バルカン半島の旅 No19. 「チェトニック・アイランド」8月3日〜
ドナウの洗礼
ベオグラードでサバ川は終わり、ドナウ川に合流する。
おれたちの船旅もいよいよドナウ川に舞台が移りました。
ドナウ川に入ると川幅は1km以上に広がり、それまで波ひとつなく鏡のようだったサバ川とはうって変わって、おれたちはいきなり日本海のような高波に襲われた(ちと大げさだけどサバ川からくるとそう感じました)。
船は激しく揺れ、時には波に跳ねて船が川から浮いてるんじゃないかと感じるほどだった。
さらに最初の日にビーチに停泊してた時には嵐に襲われ、危うく船を流されそうにもなった。
おれたちはさっそくドナウの洗礼を受けて、「旅」が「冒険」になっていくのを感じた。
そして更なる冒険がおれたちを待っていた!
なんつって。
チェトニック・アイランド ~ 21世紀のハックルベリーの冒険~
ドナウ川には幾つも島が浮かんでいる。
しばらく下っていくとひと際大きな島が見えてきた。感じいいのビーチに居心地の良さそうなレストランらしきもの。
人が住んでいる島なのだ。
「ちょっとあそこに寄って行かないか」
おれたちはその島に向けて舵をきった。それが事の始まりだった。
島の中のジャングルを散策すると、古い別荘らしき建物が点在していて快適な空間が広がっていた。
「ここにおれたちのベオグラード・オフィスを開こう」などと冗談を飛ばしながら、おれたち船から見えたレストランに向かった。
レストランは船から見えた通り、ごきげんな場所だった。
ビーチに出ているテーブルにはおれたちの他に店の仲間らしき若者たち。
おれたちはそこにいたみんなとビールとラキア(バルカンのブランデー)で乾杯!
例によってジャムセッションも始まった。
ドナウ川に沈む夕日を肴に楽しい時間が流れてく。
ところがしばらくするとベキムの様子が変ってきた。
「飯食ったらすぐにこの島をはなれよう」
とおれに耳打ちしてきた。
理由はこうだった。
このレストランの名前はあるセルビアの山の名前からとっているのだけど、かつてそこで激しい戦闘があった事から、現在ではその山はセルビアのナショナリズムを象徴する場所になっているという。
つまりここにいる連中はナショナリスト(民族主義者ー"おれたちサイコー。あいつらFuck" 的な思想を持つ連中)たちだったのだ。
それだけじゃなく、一緒に飲んでいるうちに彼らはスーパー・ハードコア・ナショナリストの殺戮集団、「チェトニック」と呼ばれる兵士たちだった事が明らかになってきた。しかも彼らはその特殊部隊の連中だったのだ。
※このレストランのオーナーは有名なリーダーだったみたいで、
昔のチェトニックのポスターに彼の写真が載っていた。
チェトニックはかつて大量のボスニア人やアルバニア人たちを殺してきた連中。
そしてベキムはボスニア人で、「ベキム」という名前はアルバニア系の名前。
200%最悪な状況だった。さすがのベキムも逃げ出したくなっていたのが伝わってきた。
そりゃそうだ、かつての天敵のど真ん中にいるのだから。
「おれはかつてナイフで仕事をしていたんだ」
痩せたおじさんが、つぶやいた。
つまり銃などではなく、ナイフで人を殺してきたのだという事だ。
ここのオーナーや年配の連中は今でも現役の戦争犯罪者たちで、出るところに出れば刑務所に入らなければならない連中なのだ。
セルビアに来てから出会った連中に90年代の戦争の事を尋ねると、「あれは気が狂った連中がやったことさ」とみんな答えていた。
そして今やおれたちはその「気か狂った連中」に囲まれて酒を一緒に飲んでいたのだ。
でもその事を除けば彼らは全く人のいい連中で、パッと見るとかつての敵同士が一緒に飲んでいるとは誰も気づかないだろう。
でもそれが逆に凄まじく見えて、おれは酔ってもずっと緊張感が耐えなかった。ましてやベキムの心境は計り知れなかった。
でも、結局おれたちはここに2泊して彼らとラキアを飲み続けた。かれらをおれたちのボートに招待したりもした。
仕舞いには若い連中はすっかりベキムの事を好きになっていた、いつもの街と同じように。
その様子を見ていて、破天荒だけどベキムの器のでかさを改めて感じた。
三日目の早朝、
「今すぐここを離れよう」とベキム。
おれたちはエンジンを回して、逃げるように「チェトニック・アイランド」を去った。
さすがのベキムもぎりぎりまで頑張っていたのだ。
この船旅のアイデアは、川に浮かぶ島を拠点に冒険が展開していく「ハックルベリーフィンの冒険」が元になっているんだけど、なんだか本当にドナウ川がミシシッピに見えてきたぜ。
Balkans Travel Chapter 19. "the Chetnik Island" 3rd Aug -
Greeting from Danube
The river Sava meets the Danube at Beograd.
Our travel also got on to the Danube.
From the Danube, the width of the river gets more than 1km. And immediately we got big waves. Sometimes our boat jumped by the waves. Much different from the Sava. The Sava had no wave like a mirror.
Then when we parked one beach. The big storm attacked us, she was almost going to take away our boat.
We felt our "travel" was going to turn to "Adventure".
And, here we got one more adventure .
The Chetniks island -Huckleberry Finn@21century-
There are many small islands on the Danube.
After while, we found one big island with nice beach. Also we could see one comfortable restaurant. Wao, people lives there.
"Let's check out this island!"
That was the beginning of the Adventure.
The restaurant was nice same as we saw from boat.
We drank Rakia with people from the restaurant.
Then we start to play music as usual.
Beautiful sunset at Danube. happy moment..
But,
"I want leave this island"
suddenly Bekim whispered.
His reason was like this.
The name of the restaurant, they took it from one mountain in Serbia. Big fight happened at this mountain long time ago. So today this place become a symbol of Nationalism.
That means all of people from this restaurant, they are the nationalists.
Not only that, we discovered that they were the "The Chetniks" - the army of super hard core nationalist's group in Serbia.
They were special team of Chetniks.
The Chetniks used to kill a lot of Bosnians and Albanians.
And Bekim is Bosnian, and his name is from Albania..
200% the worst situation.
Full of ex.his enemies surround us.
"I used to work with knife"
One old guy said to me.
That means he killed people by the knife.
Some of them are still the war criminals.
Since I arrived Serbia, I always asked about the war to the people.
All of them said," Crazy people did war"
So they were the "crazy people". We were drinking with the crazy people.
Slowly I began to understand the situation.
So I couldn't relax so much. But how about Bekim? I can't imagine his situation.
But eventually we stayed this island for 2 days. And young people become to like about Bekim as usual.
He is the big guy as a person.
"Let's go away now!"
Bekim said at the early morning on 3rd day.
we started our engine and left.
Our boat travel, this idea comes from "The Adventure of Huckleberry Finn".
And actually our travel has turned to adventure like Huckleberry.
I saw the Danube turned to Mississippi.
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