バルカン半島の旅 No14. 「to the River」7月23日〜 サヴァ川
「ボスニアから黒海まで、ボートで旅するつもりなんだ」
2006年2月ごろ東京でバタバタ働いていた最中に、ベキムから届いた初めてのメールにそう書かれてあった。
衝撃的だった。
偶然その数週間前に仕事を辞めて旅に出る事を決心し、職場の社長にもその旨を告げたばかりだった。
ただ行き先だけが決まってなかった。
— アラスカかアフリカにでも行こうかな
そんな事を漠然と考えていた。
そんな時期に届いた見知らぬベキムのメッセージからは冒険の匂いがプンプン漂っていた。
「OK、必ずそっちへ行くから待っててくれ」
おれはすぐに返事を書いた。
「もっと詳しい事を教えてくれ」「予算はどうなってるんだ?」など、一切の質問はしなかった。
ましてやバルカン半島がどこにあるのかさえ知らなかったし、ベキムがどんな奴かも知らなかった。
—こいつは絶対に面白くなるぞ!
という直感に全てをゆだねた。
それからおれは東京でこの旅の企画書を書いてスポンサーを探したり、ラジオ(渋谷FM)に出演させてもらって旅の宣伝をしたり、関係ないけどなぜか女子大で旅の講義までして、この旅のドキュメンタリーを成功させる為に奔走した。
同じ頃、はるかヨーロッパ・ノルウェーでもベキムがおれの作品集のDVDを持って撮影の資金を得る為に奔走していた。
望ましい結果は得られなかったけど、まだ会った事もない二人が地球の反対側で 同じ "旅" という目的に向かって奔走している事自体が嬉しかった。
— 同じ事にわくわくしている奴が地球の裏側にいるんだ!
そして5ヶ月後、ついにおれたちの船旅が始まろうとしていた。
船出
7月23日。2週間ほど滞在したブチコ(ブルチコ)をいよいよ出発しました。
ここからはおれたちのボート、SAVSKA BUBAでの船旅。気分も船乗りモードになるってもんだ。
おだやかなサバ川をのんびりと下ります。このあたりは左側はクロアチア、右側はボスニアなのでおれたちは国境の上を旅しています。
初めてベキムから船旅の計画を聞かされたとき「センスがいい奴だな」と思った。
ゆっくり進む船旅は、目的地だけが目的じゃなくその過程そのものを楽しむセンスがないと思いつかないと思うからだ。
どんな寄り道がおれたちを待っているのだろう!
しばらく進むとユーゴスラビア時代の骨董品の戦艦のような船(建物?)が岸に停泊しています。
サヴァ川の国境管理局みたいな建物で、おれたちはそこでセルビア入国の手続きをしなければなりません。
船長室みたいな部屋には映画に出てくるような二日酔いの酒の臭いのするだらしないキャプテン。
「ベキム・セラノビッチ・・」
キャプテンは書類から顔をあげるてベキムの顔をのぞき込みました。
「お前の父親はひょっとして、あのセラノビッチさんか?」
なんとその管理局で働いている連中は、昔船長だったベキムの父親の下で働いていたそうだ。
「お前は父親そっくりだな!」
みんな唖然とした顔でベキムの顔をのぞき込んでいました。なんだかいい感じで手続きが済みそうだ。
※ベキムの父親は現在オーストラリアに移住していて
二度とボスニアに戻るつもりはないそうです。
最後に密輸などを防ぐために警察官がボートの荷物チェックをして、全ての手続きは終わる。
おれは内心このチェックを恐れていた。
船室にある小さな扉の中を見られたくなかったからだ。
が、その警察官は船室をこまめにチェックし始め、ついにその扉を開けた。
「なんだ、こいつは!」
その警察官は扉の奥に子犬のヤラネを見つけ声をあげた。
「こいつは、つまり・・おれたちの家族なんだ。いいだろ?」
みたいな事をベキムは必死で説明していた。おれも懇願するようにその警察官を見つめた。
「ま、いいだろう」
意外と簡単にOKが出たので、おれは思わずその警察官を抱きしめたくなった。
ヤラネもやっと暗い物置から解放されて嬉しそうにシッポをふってる。
これで心置きなく船旅が続けられるぜ!
おれたちは無事にチェックの手続きを終え、再びサヴァ川を下り続けました。
この辺りの川岸はジャングルのような森が広がり、人の気配が全くないので秘境を旅している気分になります。
「まるでアマゾン川みたいだな」とベキム。
他に船もないので交通事故の心配もない。
運転はほとんどペーターとベキムに任せておれは甲板の上で本を読んだりヨガをして過ごしてました。
「ドリナの橋」という小説で有名なドリナ川がサヴァ川に注ぎ込むところは流れが急になりちとスッタモンダしたけど、そこを越えるといよいよセルビアに入国です。
セルビアの最初の町、ミトロビツァまでは丘に上陸する事を禁止されていたので(そこでセルビア側のキャプテンのチェックがあるため)、おれたちは最初の夜は川の真ん中にアンカーを下ろして停泊しました。
夕食を甲板の上で作り、ラキアで乾杯!
おれたちは無事に船旅が始められた事を祝った。
Balkans Travel Chapter 14. "to the River " 24th July -
" I'm planing to travel from Bosnia to Black sea by the boat"
It was the first mail which I got from Bekim in February 2006, when I was working in Tokyo very hard.
I Still remember that moment, It was a shock, and I really got excited.
- What a crazy idea!
A few weeks before, I had already decided to quit my job and start to travel, and already told my boss about it.
I just hadn't decided where I was going to travel.
So I got this mail at the right moment.
I could smell of the Adventure from his message.
" OK, I will join you "
Immediately I sent him back. Even though I didn't know where the Balkans are or who is Bekim.
I just followed my intuition.
Then I started to try to find sponsors in Tokyo for the documentary film of this travel.
At the same time, Bekim also tried to get money for this project from Norwegian film foundations.
Eventually, we couldn't get good result.
But I was happy to have a friend opposite side of the earth.
Then 5 months later, we were going to start the boat travel..
To the River
23th July, We left Brcko.
Now we are on the boat! Feel like we are sailormen!
We sailed down the river Sava. Sava was so calm.
Left side is Croatia, Right side is Bosnia.
So we were traveling on the border.
When I heard this idea the first time, I could see he had a cool sense for travel.
Because actually to get to the destination is not so important .
The process itself is traveling, That's my position.
Soon we arrived at one old big ship. It looks like an antique from the Yugoslavia period.
But It's kind of a border office. We must go there for getting checked to cross over the border.
In the captain's room, there was one untidy captain who had a hangover.
" Bekim Sejranovic...."
The captain checked our documents and look into Bekim's face.
" Are you the son of Mr. Sejranovic? "
All of the staff who work at the border office, used to work under Bekim's father who was a captain.
( Now his father lives in Australia and doesn't want to come back to Bosnia again)
" You have the same face as your father ! "
Oh, it seems very easy to pass their check point.
Finally. one policeman came to check inside of our boat.
I was worried about it. Because I had something in the small closet.
But, he opened the door of the closet.
" What is this ! "
The police guy shouted at finding a small dog - my son Jarane - .
" He is ... just our family, you know ? "
Bekim was trying to protect him.
" Ok. You can take him "
After a while, the policeman allowed us to travel with Jarane.
I was almost going to hug the police guy.
Now we can travel without any problem!
We continued to sail down the Sava.
This area looks like Amazon. Both sides of the river are surrounded by the forest like a jungle.
And there are no houses or people, very isolated. Feels like an adventure. Yes it is ! actually.
Where the river Drina comes into the Sava, the stream gets fast.
When we passed this fast stream, we got into Serbia.
We were not allowed to be on land until we got to the first town in Serbia called Sremska Mitrovica.
So we anchored in the middle of the river the first night.
なんかワクワクして来たぞーーっ!
Posted by: Bab | Jan 20, 2007 at 07:44
へいBab
元気かー?
神2のみんなによろしくな−!
Posted by: moku | Jan 26, 2007 at 02:57