バルカンの旅 第三話「会話はジャムセッション!-イストラ-
6月17日(土)
― なんて素敵な場所なんだ!
俺たちはあるレストランの中庭でゴキゲンな時間を過ごしていた。
ベキムの友人、俳優のアレンと奥さんのディアナが
「イストラで一緒に夕食を食べよう」
と俺たちを誘ってくれたのだ。
イストラはリエカの西に張り出した半島。 リエカが熱海だとすればイストラは伊豆半島という感じ。ちょっと違うかな・・
とにかく俺たちは愛車のワーゲン、「ブバ」に乗ってイストラに出かけた。
そのまま2、3日この半島を旅するつもりです。
リエカから南の地中海沿岸は、白っぽい岩山にポツポツと木が生えているような独特な風景が続くのですが、一方西のイストラは峠を越えると途端に日本のような濃い緑の山々や平原が広がります。
ここまで来ればイタリアやスロベニアの国境ももうすぐそこです。
「バレ」という小さな村でアレンたちと合流。すでに日は暮れていました。
バレ! ブバから降りた途端に俺はこの小さな村を好きになりました。
薄明るい街灯に照らし出されてたのは石で作られた古~い道と建物、そして静寂・・
俺はまるで中世のヨーロッパの村にタイムスリップをしたような気持ちになった。
アレンは、彼の友人「トモ」のレストランへ俺たちを連れていってくれた。
静寂な中世の石の路地を歩いてゆくと、ひっそりとトモのレストランはあった。
トモの店は、バレのしっとりとした雰囲気にふさわしく、つつましく、こじんまりとしていて、そしてとても優雅な空間でした。
俺たちは中庭のテーブルでうまいワインと料理でくつろいだ。
トモの店にはメニューはない。何か食いたければその日トモが作ったものが出てくるのだ。レストランというより「トモの家」といった感じ。
俳優のアレンとは出会ったばかりなのに、すぐに打ち解ける事ができました。
アレンは心から人の話に耳を傾ける事ができる人。少なくとも俺の話す話に目を爛々として聞いてくれた。
旅に出て映像を紡いでいく事を目指して東京で4年間修行してた話や、そのきっかけとなった6年前の旅の話などを話したら
「You are the soul man! お前は魂の男だ!」
と俺の生き方に共感してくれた。
勿論、俺が素晴らしい訳ではなくオープンマインドなアレンたちがグレイトなのだ。
アレンもディアナも心から俺のことを好きになってくれているのを感じ、嬉しい気持ちになりました。
ワールドカップのせいか、アジア系の人が少ないせいか、リエカではいつもよそ者を見るような目で見られている気がしてたので、やっと心から話せる人物に出会った気持ちです。
旅をする人にとって、出会っていく人たちがその街の色をつけていくのだ。
「『モクはオレとディアナに幸せを運んでくれた』ってアレンが言ってたぜ」
と後でベキムが俺に伝えた。
何てこった!それが本当なら俺はまるで尊敬する旅人クヌルプ(ヘルマンヘッセの小説の主人公)みたいじゃないか!
でも実際は俺のほうが彼らから幸せな時間を分けてもらったのだ。
アレンは38才、国立劇場で主演を演じる俳優。
友人のトモはレストランのオーナーだけではなく小説を書いたりする作家でもある。
ここはクールな人たちが密かに集うクールな場所。俺はここの素敵な空気と素敵な人たちと過ごす時間にすっかり酔いしれていた。
まもなく音楽も始まった。
店のギター、ペーターのマンドリン、そして中庭にあったジョウロをパーカッションにしてセッション。
俺もアレンもベキムも歌った。
「会話はジャムセッションだ!」と俺は言った。
その夜、俺たちは止めどもなく話が弾んだ。小さなきっかけで会話のテーマはどんどん変わっていく、俺たちはその波に乗り、会話はグルーブしていった。 なんてゴキゲンな時間!
英語もろくに喋れなかった時期に俺は旅先で言葉の代わりに色んな国の人と音楽でジャムセッションをしていった。
ジャムセッションでは、うまく演奏する事以上に他の人の音に耳を澄ます能力の方が大切だと俺は思うのだけど、人と会話する時も同じなんだ。人の話にどれだけ心から耳を澄ませる事ができるか。あの夜俺はそう感じた。
「会話はジャムセッション!」 アレンはこの言葉をよほど気に入ったみたいで、後でリエカのアレンの家を訪ねた時にもアレンはこの言葉をよく繰り返していた。
夜はトモが俺たち3人に部屋をあてがってくれた。この素敵な空間の中で幸せな気分のまま眠りにおちました。
Balkans Travel chapter 3. ISTRA
17th June What a wonderful garden here in Tomo's restaurante!
Alen is actor. He and his wife Diana invited us to have dinner together with them in Istra.
Istra is a peninsula just up north from Rijeka.
Bale is very old village in Istra. Whole town was made by stones. Good vibration!
When we arrived there, i felt like i was in Middle Ages.
Alen took us to one small restaurante,Tomo's restaurante.
Tomo is Alens friend.
Tomo is not only restrant-guy, but also writer. I saw one book, short storys. But i couldn't read it..
Anyway, his restaurante, it'so------nice!
The wall surrunding us,they have been standing here for more than 1000 years!
Some kind of silent atmospher. Cool place and cool people.
I was very happy to come here.
Alen and Diana are really open minded.
So i could release myself. We talk a lot.
I felf like we have been best friends for long time.
I felt they really liked me. After while Bekim told me "They said you brought hapiness to them"
I don't know why, anyway we had really wonderful time.
Nice food, good wine, cool people...
Then music was starting...
Guitar, Mandolin, Percussion.
Alen is a great singer. I also sang some japanese songs which i use to play with my band.
Music became jam session.
"Conversasion is jam session!"
Jam session, it's not enough even if you can play well.
You need some ability to feel and to listen how the others play.
In conversation you also need this ability.
Then it will get groove.
There was lot of music and conversasion that night.
Eventually, Tome showed us a nice room to sleep in.