去年の南極の旅に続き、今年、北極圏へ旅する仕事を頂きました。
カナダとノルウェーを回って、地球を一周してきました。
(2年前も自然番組で地球を一周してたので、気づけば最近はこの星をぐるぐる回ってるなぁ)
カナダ、イエローナイフ
最初に訪れたのはカナダ、イエローナイフ。
気温は氷点下30度を下回る。
飛行機から降りるなり咳き込むほどの寒さ。
ここで『オーロラ爆発』という現象を探し求める旅をしました。
オーロラの撮影は毎晩、氷点下40度を下回る中で続きました。
撮影後は、写真のような状態になります。。。
オーロラ爆発の空の下で
カナダの旅で、一番思い出に残ったのは、撮影がうまくいかなかった時の事です。
仕事的には良くないんだろうけど、旅人的には“旅がグルーブしてくる”感がたまらない!
それは、出演者をはじめ、スタッフが帰国した後の事でした。
カナダの撮影隊が帰国した後も、おれと特撮カメラマンの二名はカナダに数日残りました。(二人はノルウェーに直接向かうため)
その間も、今回なかなか撮影できなかった目的の『オーロラ爆発』を撮影しよう、と町から一時間ほど離れた凍った湖へ向かいました。
その夜は、オーロラもたくさん出て、「なかなか良い感じじゃない?」と特撮カメラマンと話しながら撮影をしていました。
そして深夜、ついに『オーロラ爆発』が発生した!
オーロラが爆発したように夜空を覆い尽くす神秘の現象がおれたちの前に現れた!
ところが、その直後、ドライバーが車の中に鍵を置いたままロックしてしまった…! いわゆるインロック。。。
カメラのバッテリーもメディアのカードも車の中に置きっぱなし。。。。
このままじゃ撮影が続けられない。。。
それどころか、氷点下40度の世界で、一晩中車の中に入れないなんて、生死にさえ関わる話しだ。
神秘の現象『オーロラ爆発』の空の下、おれたちは撮影どころではなく、必死で車を開けようと奮闘してました。
だけど何故か可笑しかった。
随分時間が経って諦めかけていた時、一台の車が深夜の凍った湖に現れた。
パーティー帰りの男女5人の地元の若者たちだった。
おれたちを見つけて、「どうしたの?」と声をかけてくれた。
彼らはインロックの事を知るや否や、道具を持ってきて手伝ってくれた。
結局、鍵は開かず、「とりあえずおれたちのコテージにおいでよ」と誘ってくれた。
凍った湖の対岸に、そのコテージはあった。
そこはまるで、おとぎの国のようだった。
中庭にはたき火が焚かれていて、バーもあって、陽気な連中と不思議な時間が流れた。
「ひょっとしたらみんな妖精で、明日には連中もこのコテージも消えてなくなってるんじゃないか?」
と思えるほど、人里離れた極寒の世界でのシュールな時間でした。
「極北のイエローナイフでは、人々は助け合って生きているんだ」と街の人から聞いてたけど、それは本当でした。
ノルウェー
カナダからノルウェーの北部トロムソを目指す途中、トランジットで7年ぶりにオスロの空港へ寄りました。
思えば7年前、『バルカンヘ』の撮影のため、見ず知らずのベキムを訪ね、初めて出会ったのがこの空港。
このブログも7年前にオスロへ来た時から始まってるので、ひとつの時間が一周したような気がした。
オスカーとの再会!
「モクサン!」
トロムソの空港で、極地コーディネイターのオスカーが迎えにきてくれた!
本当に嬉しい再会。
一年前の南極以来だ。
ひょうきんもののオスカーは、元々バックパッカーなのに、今では極地コーディネイターとして、南極点までガイドしたりする頼もしい男。
オスカーとは南極以降もたまに連絡をとっている。祖国スウェーデンに戻った時、双子の小さな息子たちの面倒を見ていて、その時のメールが「子供を世話するのは、南極点行くより大変だ」って困ってたのが、オスカーらしくて笑えた。
一年前、南極でオスカーと。
オスカーも再会を本当に喜んでくれた。オスカーのボス、ジェイソンも電話でオスカーに「みんなによろしく伝えてくれ。特にモクに」と言ってくれたそうなので、嬉しい限りだ。
おれたちは南極の時のように船で旅し、ヨーロッパ最北端まで行った。
常にユーモアに溢れるオスカーは本当に素敵なやつだ。
10日ほどの再会だったけど、オスカーとはまた会える気がした。
帰国
旅に出ると、祖国のありがたさを毎回実感する。
世界中どこでも行ける、日本の魔法のパスポート。
日本のパスポートはビザなしで行ける国が世界で一番多い。
経済大国、アメリカや中国のパスポートでも行けない国があるので、これはお金の問題じゃない。
国として世界に「信頼されている」からだ。
なぜ信頼されているか。戦前の日本の行いが世界の賞賛を得てきたから。旅すると歴史を紐解くのが楽しくなる。
んな感じの世界一周の旅でした。